7月20日に予定されていたゲームが悪天候で延期、順延となった分の代替。
最下位に沈む岐阜が、ふたつ上の鹿児島のホームに乗り込みました。
鹿児島との勝ち点差は3、得失点差を考慮すると岐阜が勝てば21位栃木と20位鹿児島を抜いて降格圏内を脱出するという、両チームにとってとてつもなく大事なゲームとなりました。
2019.10.30
鹿児島ユナイテッド 1-0 FC岐阜
90+4分:ルカオ
ゲーム
スターティングメンバー
ホーム鹿児島は韓選手を1トップに据えた4-5-1。
ベテラン酒本選手が右サイドバックに入り右サイドハーフの萱沼選手とコンビを組みました。
アウェイ岐阜は4-4-2。
ベテラン前田遼一選手と馬場賢治選手の2トップ、フォワードでゴールも奪っていた川西選手がボランチに入りました。
前半
岐阜はロングボールを中心に、鹿児島はショートパスで組み立て、そのような両者の展開。
岐阜はある程度高い位置からプレスをかけ、自陣にボールが入るとブロックを組んでしっかりと守備をするような戦い方を狙ってきました。
14分、それまであまりチャンスがなかった鹿児島に最初のチャンス。
右サイドでもらったフリーキック、通常は合わせるボールを蹴る位置でしたが、酒本選手が直接狙います。岐阜ゴールキーパーのジーバース選手がセーブ。
逆に岐阜は20分、ロングボールで綺麗に左サイドを破りますが、左から上げたクロスは誰も合わせられず。クロスまでの展開はとても綺麗だっただけにシュートまで持っていきたかったシーンでした。
さらに直後の23分、左サイドで得たフリーキックを素早くリスタートした岐阜は、ボールを受けた川西選手がカットインで持ち込み強烈なシュート。これは鹿児島ゴールキーパーのアン・ジュンス選手のファインセーブでゴールとはなりませんでした。
立て続けに攻める岐阜は、前田選手が右サイドをドリブル突破、マークに来たニウド選手も抜いてクロスを上げると、馬場選手がヘッドで合わせて狙います。これもアン・ジュンス選手が好セーブで鹿児島はピンチを脱します。
中盤にペースを握った岐阜がゴールを奪えずにいると、次第に流れは鹿児島へ。
30分、スルーパスに抜け出した砂森選手のクロスがディフェンスに当たりゴールへ。ポストに当たりゴールインとはなりませんでしたが、あわやオウンゴールの場面でした。
前半終了間際には、コーナーキックのこぼれ球を拾った中原選手がワンフェイントで一人ディフェンスをかわし、左足で強烈なミドルシュートを狙います。これもポストに直撃し、鹿児島は惜しいチャンスを逃しました。
見どころ満載の前半はスコアレスで折り返します。
後半
前半終了間際の鹿児島ペースを引っ張り、そのままゲームの主導権を握ったのは鹿児島でした。
ショートパスがうまくまわり、岐阜のディフェンスを崩していきます。
しかし、岐阜もある程度狙った守備ができていて、「ボールは持たせているが最後はやらせない」というシーンが続きました。
52分、鹿児島はロングボールを牛之濱選手が胸トラップで収めると、そのまま反転してシュート。難易度の高いプレーで会場を湧かせます。
その後は両チームの指揮官が動きます。
鹿児島が61分に萱沼選手から五領選手へスイッチすると、立て続けに岐阜は3人の選手を入れ替えます。
63分にフレデリック選手から村田選手、70分に塚川選手から柳澤選手、73分には馬場選手から北谷選手を投入し、選手交代を終えます。
鹿児島はその直後の74分に韓選手をルカオ選手へ交代します。
この約15分間はとても見応えがある采配でした。
その後は一進一退。
75分に縦パスをうまくトラップした前田選手が強烈なシュートを放ち岐阜に勢いをつけると、
77分には鹿児島がカウンターから枝本選手が左足クロスを入れ、フリーになったニウド選手がヘディングシュート。超決定機でしたが枠へ飛ばすことができませんでした。
岐阜も黙っておらず、79分には阿部選手のヘディングシュートがクロスバー直撃。まったく目が離せない展開が続きます。
そしてそのまま突入したアディショナルタイムも終盤、自陣でボールを奪った岐阜は勝ち点3が欲しい為に最後の攻撃に出ます。
しかし、鹿児島の中盤が素早いプレッシャーでボールを絡め、最後は五領選手が奪い切ります。
そのボールを拾ったルカオ選手が強引にドリブル突破、最後は止めにきた竹田選手をなぎ倒しながらシュート。体を投げ出してブロックに入った當間選手に当たりながらゴールに吸い込まれ、最後の最後に鹿児島が均衡を破ります。
なんとそのままタイムアップ、激闘を鹿児島が制しました。
注目選手
ホームの鹿児島は左サイドバック砂森選手。
タイミング良いオーバーラップで何本もクロスを入れていましたし、サイドバックながらポジションをかなり絞ってボランチ気味にプレーするなど、とても気の利いたプレーを見せていました。ここまですべての試合にフル出場していますし、鹿児島を支える選手と言えそうです。
アウェイ岐阜は交代出場の村田選手。
高卒ルーキー(昨年は特別指定で岐阜所属)で、今季ここまで出場は4試合にとどまっていますが、大一番で得点を期待され登場しました。
スピードと技術がありそうで、何より雰囲気を持っている選手という印象です。
数年後にはかなりの選手になっていそうなオーラを感じました。
まとめ
残留争い直接対決のビッグマッチ、ホーム鹿児島が3ポイントを奪い残留に向けて前進しました。
逆に岐阜はとてもとても痛い敗戦。ゲーム終了後のスタンドには涙するサポーターの姿も見られました。
ゲームは鹿児島のテンポ良いパス回しでペースを握っているように見えていましたが、岐阜はある程度想定していた戦いだったように思います。なので、岐阜イレブンとしてはさほど崩された印象はないのではないでしょうか。
実際に自陣からのカウンターは鹿児島にとってかなりの脅威となっていました。
ロングボールを入れても、前田選手と馬場選手の高い技術でボールを収められるので、鹿児島のディフェンスは常にリスク管理が求められる展開でした。
ただ、岐阜北野監督はどこかのタイミングでデ・フリース選手かミシャエル選手を投入してくると予想していたのですが、二人とも起用しなかったのは意外でした。
岐阜にとって痛い敗戦であることは間違いないですが、まだ残り4試合あります。ゲーム内容も良かったですし、まだまだ諦めるには早いです。
北野監督はゲーム後に頭を抱えていましたが、切り替えて残りは良いゲームを見せてくれると思います。
そして鹿児島ですが、残留争いのライバルを直接対決で叩く、しかも後半終了間際の劇的なゴールとなれば、勢いづかないはずがありません。残り4試合も駆け抜けていけそうな、それくらい価値ある勝利となりました。
決勝点を挙げたルカオ選手の投入についてですが、岐阜のプレスが効いているうちは韓選手で組織的にプレーをして、最後緩んでくる時間帯に個人技のあるルカオ選手で勝負、という狙いだったのかなと思いました。とても見応えがある采配だったと思います。
とても面白いゲームを見せてくれた両チーム。もちろん来季もJ2で見たいです。
両チームの残り4試合、目が離せません!
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