今季のJ3もいよいよ折り返しを迎えようとしている第17節。これで前半戦が一巡します。
首位秋田を勝ち点差4で追う熊本がホームにYS横浜を迎える一戦です。両チームとも中2日、コンディション調整がとても難しい一戦です。
前節藤枝戦でJ通算150試合出場の上村周平選手のセレモニーがありました。素晴らしい記録ですね。ジュニアユースからの生え抜き選手ですし、これからも熊本を背負って立つ選手になって欲しいですね。
2020年9月22日
ロアッソ熊本 2-0 Y.S.C.C.横浜
26分:中原輝
66分:谷口海斗
熊本vsYS横浜 ゲーム展開
前線から激しいプレッシャーをかけてボールを保持する熊本に対し、YS横浜はなかなか思ったようにボールを運ぶことができない展開となりました。
25分、右コーナーキックからこぼれ球を石川選手が鋭いミドルシュートを放ちます。これは、YS横浜ゴールキーパーの大内選手がスーパーセーブで逃れました。
それで得た反対からのコーナーキックをショートコーナーで始めた熊本は、中央にいた中原選手がワントラップでボールを浮かし、ドライブシュートを叩き込んで先制に成功!前半26分の先制点はスーパーゴールでした!
後半に入るとYS横浜は選手交代を繰り返して反撃を試みます。
なかなかシュートまで持っていけずにいると、66分にバックパスを受けた大内選手が繋ごうとしたパスがゴール前の谷口選手に渡り、フリーでコントロールショットを叩き込まれて熊本に2点目を献上。谷口選手は得点ランキング2位につける10点目となりました。
最後までプレスが緩まなかった熊本がこのままゲームをクローズさせ、今日ドローで終わった秋田に迫る勝ち点3をゲットしました。秋田の消化試合が1試合少ないものの、勝ち点差が2となりました。
ロアッソ熊本
熊本は4-3-3のフォーメーションで戦います。
とてもバランスのとれたシステム、戦い方で、前線からの激しいプレッシャーで相手に自由を与えずに時間を推移させました。
フィールドのどの場所でも選手間の距離が保たれており、テンポ良いシュートパスを繋ぎ、相手を集めたところで長いパスを使うというしたたかな戦い方を見せていました。
そんな中、右サイドバックの黒木選手が中央に流れるシーンが多く見られました。右フォワードの中原選手がサイドに張りやすいようにする配慮でしょうか。
その中原選手はサイドラインからカットインして得意の左足シュートを放つシーンが見られました。
中原選手については、昨年にこのブログで注目選手に挙げていました。
その中原選手のスーパーミドルで先制に成功した熊本は、手を替え品を替え攻めようとするYS横浜をうまく止めて時間を進めました。
66分にはカウンター攻撃を仕掛け、相手にバックパスをさせたところをサイドバックの黒木選手がゴールキーパーまでプレッシャーをかけに行き、パスミスから谷口選手の追加点をお膳立て。
押し込みながら追加点が取れずにいたチームに待望のゴールをもたらしました。
その他にもポストに当てるシュートなど決定機はありましたが追加点は取れず。ただ、大きなピンチもなく完勝といったところでしょうか。
この試合、少し不思議な場面がありました。
20分、ゴールキーパーの内山選手がパントキックを蹴ったところ、その動作にプレスに来ていたピーダーセン選手にボールが当たり、ルーズボールとなります。主審の藤田さんはゴールキーパーからの間接フリーキックを指示しました。
ルールを把握できていないのですが、これがなぜ間接フリーキックとなるのかわかりませんでした。パントキックでゴールキーパーからプレーが始まっている以上、目の前の選手に当たっても特に問題ないのでは…ルールに詳しい方、コメントで是非教えてください。
そして、触れずにいるわけにはいかないのが浅川隼人選手ですね。
今季YS横浜から移籍加入した浅川選手、交代で退く87分まで昨季のチームメイト相手に体を張ったプレーを見せていました。YS横浜の選手としても、浅川選手にだけはやられるわけにいかなかったのでしょう、相当激しいマッチアップを見せていました。ゴールこそなかったものの、シュタルフ監督へ成長した姿を見せることができたのではないでしょうか。
昨年の浅川選手のゲームはこちらの記事で書いています。
そして、その浅川選手と交代で入ってきた北川知也選手。
昨年のゲームでとても目立っていた選手でしたが、今季はこのゲームでまだ2試合目とのこと。怪我なのかどうなのかわかりませんが、もっともっと得点を取れる選手だと思いますので期待したいですね。昨年はセカンドトップが合いそうだと感じましたが、今季の熊本はそのシステムを採用していないので、3トップのサイドのフォワードに適応していく必要があるでしょうか。
Y.S.C.C.横浜
対するYS横浜は4-1-4-1のシステムで、1トップにピーダーセン世穏選手を据えました。
このシステムは守備時の時のもので、攻めに転じた時はセンターバックの土館選手がボランチに上がり3バックに変更していました。相手の3トップに合わせて守備時は1枚多い4人のディフェンスとしていたのかもしれません。
YS横浜は自陣からショートパスで繋ぐサッカーを展開しようとしていましたが、熊本のプレッシャーが激しく、前へボールを運ぶことができずにいました。それでも頑なにショートパスで繋ぎ、前線にボールを入れては潰されてしまうというシーンの繰り返しとなりました。
特に前半の前半は1トップのピーダーセン選手がまったくボールに触れることができず、ポストとして収めきれないために熊本の連続攻撃を受け続けることとなってしまいました。ただ、前半も時間が経過すると次第にピーダーセン選手がボールを受けられる場面も見え始め、反撃に期待を持てる展開となります。
そんな展開でも非常に大きかったのは、追加点を与えないよう全員で体を張って守っていたところでした。追加点が2点、3点と入ってしまうとさすがに苦しくなるため、最小差でゲームを展開できたことはとても重要でした。
後半に入り、エース宮本選手を始めとした攻撃的な選手を投入し、反撃に出たところでついに追加点を許してしまいます。
攻めきれずに左サイドからカウンターを食らった場面、うまく守りボールを取り返しゴールキーパーへ戻したところまでは良かったのですが、ここでも繋ごうとして相手のプレッシャーにかかり、ゴール正面の谷口選手へボールを渡してしまいました。
この2点目はとても大きくのしかかったように見えました。
その後、ピーダーセン選手と宮本選手の2トップで反撃を試み、ディフェンダーの池ヶ谷選手も前線に顔を出して抵抗しますが、最後まで熊本のディフェンスを崩すことができず、アウェイで完敗となってしまいました。
熊本の項目でも記載しましたが、特にこのゲームは昨季までのチームメイト、浅川選手とのマッチアップがとても激しく見応えがありました。
絶対に浅川選手にはやらせない、という気持ちがビシビシ伝わってくるプレーが随所に出ていて、土館選手や宮尾選手のチャージは警告スレスレのものばかりでした。
しかし、この世界でプレーしていくには避けて通れないことです。そういう個人的なバトルは、こちら側としては見る楽しみが増えますね。
YS横浜の注目選手としては、ピーダーセン世穏選手を挙げたいと思います。
前述の通り始めはほとんどボールに絡めず、プレーエリアが少し狭い(無理の効かない)タイプの選手かな、と思いましたがそんなことはなく、時間が経つにつれて良さを出していました。ショートカウンター時の起点となったり、時にはサイドに開いてボールを収めてチームメイトの上がりを待ったりと、チームプレーに徹しており今後に期待できるプレー振りでした。
チームスタイル上、宮本選手との共存が難しそうなので、9ゴールで現在リーグ3位のライバルに勝って試合出場を掴むしかないですね。残り時間の少ない中で途中出場し、2得点を挙げていますので、少ないチャンスで結果を出し続ける必要がありそうです。しかし、そんな環境がまたピーダーセン選手を成長させてくれるような気がします。シーズン終盤には、序列が変わっているかもしれませんね!
あとは触れずにいられない音泉翔眞選手。前節J初ゴールを挙げました。今後がとても楽しみな選手です。
次節の予定
熊本はアウェイでガンバ大阪U-23とのゲームです。順位はさほど上位ではありませんが、前線には強烈なタレントを抱えるチームですので油断は禁物です。
YS横浜はホームでセレッソ大阪U-23が相手、奇しくも両チームともU-23チームが次節の相手ですね。セレッソ大阪U-23も下位に沈んでいますが、こちらも若手のホープが多いチームです。そんなチームにしっかり勝って、上位進出を狙いたいですね。
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